音楽、映画、最近では3Dによる彫像のような立体物まで。今、多くの創作物がデジタル化されています。私たちのデザイン業界もそう。まずコンピュータの前に座ることから、仕事が始まる。しかし、インターデザインは違います。はじめに、私たちが始めること。それは、お客様との打ち合わせを思い起こしながら、思いのままにスケッチを描くこと(エスキスといいます)。使いなれたペンを手に持ち、頭のなかに課題を転がしながら、紙にじぶんの想いを託していく。何枚も何度も描き直していくことで、お客様の気持ちと私たちが実現したい思いがシンクロしていく。それは、指先からしか生まれない感覚的なもの。そういう仕事の仕方が、今の時代、大切なのではないかと考えています。
同様の視点で、私たちはじぶんたちの“肌”で感じることを大切にしています。たとえば、私たちは、日本はもちろん、いろんな国を旅します。見知らぬ街を歩き、人の話し声を聞き、建物を見上げます。時にはその建物に実際に触れ、その感触を確かめたりします。そして、ふと湧き上がる「ここに住んでみたいな」という感覚。それは決してパソコンの画面からは感じ取ることができないもの。そんな風に出会ったインスピレーションを、じぶんの心の引き出しのなかに大切に入れておきます。なぜなら、じぶんたちが心を動かされた“何か”は、きっと他の人々の心も動かすことができるもの。引き出しに入れたものに、じぶんの考え方を付け加えたり、引き算したりして、時が来るまで大切にしまっています。
人の心を動かす。それは初めて出会った人に「夢を感じてもらう」と言い換えてもいいかもしれません。いま、人々はどんな「夢」を叶えてほしいのだろうか?たとえば、自分たちの人生や家族を育む場となる“たてもの”。建物が完成してから、「さあ、夢を提供しよう」としても、それは砂上の城のようなもの。うわべだけのものに、人は心を動かされません。しかし、ターゲット、ポジショニング、時代性、ブランド性をきちんと分析し、その“たてもの”にちゃんとした「夢」が組み込まれていれば、人はその「夢」に集まります。インターデザインは、その「夢」をデザインで創り出すことがお仕事なのです(各自がじぶんの引き出しを持っています)。
事業計画は、常に限られた時間、限られたコスト。ビジネスの現場は、時間もお金も無尽蔵にある訳ではありません。ゆえに足りない分は、知恵と想像力を発揮する。さらには、アンテナを張り巡らし、海外にしかない素材を取り寄せたり、デザインの力技で何とかしたり。そのデザインの力だけでなく、建築現場をコントロールして円滑にしていくことができるのもインターデザインの強み。手前味噌ですが、“現場”とネゴシエーションまでできるデザイン事務所はおそらく皆無に近いはず。そうして生まれたマンションは、マーケット価値のあるマンシション。違う言い方をすれば、時代にミートした“売れる”マンションを私たちはデザインします。