2016/01/26

小寺の考察 楽市楽座

東山 学林町 東の洞院 御所 賀茂川と現在京都でのデザイン監修案件が続いている。
マーケットは主に東京の富裕層がメインで、地元京都や関西の客が購入するケースは多くはない。
そして事業主も在京都の会社ではなく東京、大阪のデベロッパーさんに限定される。

織田信長が安土の城下町に布令した楽市令では、
誰もがこの地で自由に市を開き、取引をすることを認めた。
さしずめ今の状況は現代京都を舞台にした不動産の楽市楽座だろうか。

楽市楽座の時代、安土桃山は城郭建築が盛んな時代だったが、
それらを頂く城下町は平屋の瓦屋根が並ぶ美しい景観があっただろう。
全国で最も厳しい京都の景観条例はある意味これから建てられる建築を、
その時代の景観に遡らせようという想いもあるやに思える。

ボクたちが京都で建築デザインに関わる場合、
それら規制のクリアは当然、マーケットに強く支持されることが第一義である。
しかし同時に、地元京都の人に受け入れられるデザインであると云うことも考慮しなければならない。

今日、世界から年間5000万人以上の観光客が訪れる京都。
観光名所に見る多くの寺社仏閣、建造物、それらを取り巻くすべての町人文化は京都の人によって守られてきた。

彼らに愛されない文化やデザインは即ち京都ではないということかもしれない。
京都の仕事はいつもそんな想いが頭をよぎる。